レマン湖畔の美しい村
今回は、フランスの美しい村のひとつ、同時に、”花の村コンテスト”で毎年のように入賞している、レマン湖畔の小さな村”イヴォワール”を訪ねてみました。
フランスには、”レ・プリュ・ボー・ヴィラージュ・ドゥ・フランス=フランス”(Les Plus Beaux Villages de France )の最も美しい村々協会というアソシエーションがあります。
協会によって、フランス全土にある157の村の中から美しい村が厳しい条件のもと選出されています。
写真家の吉村和敏さんの『フランスの最も美しい村全踏破の旅』という本を見てから、全踏破とまではいかなくても、自分の足でこの美しい村々をまわってみたい!という思いを持つようになりました。
この【レマン湖畔のイヴォワールとニヨンの一人旅】では、フランスの美しい村イヴォワールへのアクセス、おすすめのレストラン、散策したイヴォワールの様子、そして、隣国スイスのニヨンの町をご紹介させて頂きます。
1.イヴォワールへのアクセス
フランスの”イヴォワール”は、レマン湖畔にある小さな村です。
その美しさから、”レマン湖の真珠”と呼ばれており、その歴史は古く、1306年にさかのぼります。
フランスの美しい村は、基本的にどの村も田舎にあるので、公共交通機関を使ってのアクセスが難しいところが多い。
案の定、今回訪れたイヴォワールにも、鉄道駅はありません。
バスの路線も調べましたが、いまひとつ情報を得られません。
地図を見ながら、あれこれ考えていると、ある方法が思いついた。
それは、船。
湖畔の村なら船が出ているかもしれない!
レマン湖を挟んで、イヴォワールの対岸は隣国スイスです。
そこで、スイスから船でアクセスする方法を探してみることに。
すると、CGNという船会社が、スイスの都市ジュネーブとイヴォワールの間を結ぶクルーズ船を運航していることが判明。
船はジュネーブのモンブラン橋のたもとから出航する。
切符は出発当日、船着き場にある切符売り場で購入しました。
この船でイヴォワールまで行きます。かわいいスイスの国旗が印象的。
真っ白な船は、昔の蒸気船をほうふつとさせるデザインで、乗るだけでもワクワクします。
さすがスイス、船は時間通りに出発。
イヴォワールまで、1時間40分の船旅です。
この日は晴れていたので、たくさんの人がデッキに出てレマン湖クルーズを楽しんでいました。
船の中には、立派なレストランもありました。
クルーズしながらランチを楽しむ、自分の姿を想像していたが、私が乗った船は、朝ジュネーブを発つ便だったので、残念ながらレストランは営業していなかった。
船は途中、いくつかの村に寄港しながらイヴォワールの村に到着しました。
寄港した村々も、小さな教会があったり、港に花が飾られていたりと、可愛い雰囲気の村が多かった。
出発する前は少し長いかな…と思っていた船旅も、見所満載で飽きずに楽しむことができました。
船旅の途中、どこかでスイスとフランスの国境を越えたはずですが、船上でパスポートのチェックなどはありません。
イヴォワールの港でも、なんのチェックもなし。
今回パスポートチェックはありませんでしたが、国境をまたいでの移動となるので、一応、パスポートを持参した方が良さそうです。
2.イヴォワールでおすすめのレストラン
イヴォワールに到着したのは、お昼前でした。
小さな港に船が着きます。桟橋の向こうに見えている景色がすでにいい感じです!
早速村の中を歩いてみたい気持ちはあるものの、腹が減っては戦はできず、まずは昼食を食べることに。
港にあるレストランをのぞいてみましたが、なかなかの高級レストランの為、予算オーバー。
仕方なくお腹が空いた状態で、船を降りた観光客の波に乗って村の中へ歩いて行きました。
坂を上ると、左右にレストランやお土産屋さんの立ち並ぶ、村のメインストリートに到着しました。
しかし、ここに並ぶレストランはどこも「観光客相手」という感じがして食指が動きません。
村はずれにレストランがあるかもしれない…と横道を進んでいくと、昔の城壁の跡と思われる石造りの門を出て、モラール通りにある”ラ・バクーニ”という素敵なレストランを発見。
レマン湖を見渡すテラス席が気持ちよさそうでしたので、こちらのレストランに決定!
案内された席からは美しい色のレマン湖が見えます。
先ほど乗ってきたのと同じタイプの船が港に寄港しているのも見えました。
前菜、メイン、デザートからなるランチメニュー29ユーロを注文しました。
メインは、レマン湖畔の町や村の名物料理、”フィレ・ドゥ・フェラ・デュ・レマン”。
レマン湖で獲れるフェラという淡水魚のバターソテーです。
レモンを絞って食べるとさわやかでとても美味しかったです。
名 称: La BaCouni ラ・バクーニ
住 所: 52 Rue des Mollards 74140 Yvoire 電話番号: +33 45072 85 67 公式サイト: www.bacouni.com |
3.イヴォワールの村を散策
イヴォワールはとても小さな村。
じっくり歩いてみても40分もあればぐるりと1周できてしまいます。
村には、四角い塔を持つ、お城があります。
17世紀からイヴォワール男爵の住居として使われ、今もその子孫が暮らしているそうです。
お城で暮らすなんて羨ましい…!
お城の中の見学はできませんが、”ジャルダン・デ・サンク・ソン=五感の庭”と呼ばれる庭園は訪れることができます。
名 称: Jardin des Cinq Sens/ジャルダン・デ・サンク・ソン
住 所: Rue du Lac 74140 Yvoire 電話番号: 0450 72 88 80 /10:00から18:00 公式サイト: https://www.jardin5sens.net/ |
お庭は元々、お城で食べる野菜やハーブを育てていたそうで、お花の他に香りのよいハーブなども植えられていました。
併設のブティックでは、おしゃれな園芸用品や草花の勉強ができる子供向けの絵本、バラの香りのオードトワレなど、フランスらしいこ洒落たお土産がたくさん売られていました。
こんな田舎に来てもお洒落はさすがフランスです。
イヴォワールの村のもうひとつのシンボルは、銀色のたまねぎのような形の尖塔を持つ小さな教会です。
19世紀のサヴォワ地方の典型的な建築様式だそうです。
村の路地からもこの可愛らしい教会の姿を写真におさめることができます。
村の中には、バルコニーのある木造の可愛い家が並んでいます。
「花の村コンテスト」で入賞するだけのことはあり、どの家も色鮮やかなお花できれいに飾られています。
ゼラニウムの赤い色と家を作る古い材木の渋い茶色とのコントラストがとても絵になります。
あじさいも咲いていました。
村の中に素敵なアンティーク屋さんを発見しました。
素晴らしい寄せ木細工の机やタンスが売られており、お値段も高くないので、ついつい欲しくなってしまう。
他にも、イヴォワールの村内には、お洒落な雑貨屋さんや帽子屋、どのフレーバーにしようか目移りしてしまうアイスクリーム屋さんなど、魅力的なお店がたくさんある。
4.帰りはニヨン経由、列車の旅
さて、イヴォワールの村からジュネーブに戻ります。
来た道同様、船で1時間40分かけて戻るか、来た時と同じ道はやはり新鮮味が失われてしまいます。
優雅に楽しんだ船の旅も、「長い…」と思ってしまうのが人間の心理。
なので、帰り道は、イヴォワールの対岸にあるスイスの町ニヨンまで船で渡り、そこから列車でジュネーブに戻ることに。
ついでにニヨンも見学できるので一石二鳥です。
イヴォワールとニヨンを結ぶ船は、同じくCGN社運航で、この村の連絡船となっているようで、1時間に1~2本運行されています。
ニヨンまでの所要時間は20分!
レマン湖を渡ってスイスの町ニヨンに到着しました。
5.ニヨンの町の散策
港と鉄道駅の間にニヨンの旧市街があります。
港から坂道を登って、ニヨンのシンボル、ニヨン城を目指します。
ブドウの木が植えてある遊歩道を登りました。ブドウの木には、ガメイやシャルドネなどこの地で獲れるワインの品種が書かれていました。ニヨン近郊のレマン湖畔は、スイスでも有数のワインの生産地です。
遊歩道を登りきると、眼下にレマン湖が見えました。
ニヨン城は、12世紀に建てられたお城で、現在は陶器の博物館となっています。
18~19世紀に名を馳せたニヨン焼の陶器のコレクションなどを見ることができます。
矢車草やバラをモチーフに描いたニヨン焼は、上品なデザインで人気があるが、今では製造が中止されてしまい、幻の陶器となっています。
お城のテラスからは、ニヨンの町とレマン湖を見下ろすことができます。
茶色い屋根並みとレマン湖のブルーのコントラストが美しく、素晴らしい眺めでした。
レマン湖の向こうにイヴォワールが見えるかな??
良く晴れていたので、たくさんの人がテラスでピクニックしていました。絶好のロケーション!
ニヨンは紀元前45年、カエサルによって築かれた歴史のある町です。
高台にある公園には、ローマ時代の神殿の跡が残されています。
町には、ローマ博物館もあり、ニヨンの町で発掘されたローマ時代の遺跡が展示されています。
当時、カエサルの建設した町は、ニヨンの旧市街から鉄道駅のあたりにまで及ぶ、大規模なものだったそうで、ニヨンの町では、工事を行う度に遺跡が発掘されてしまい、工事が中断されるのだそうです。
ニヨンの町は静かで落ち着いた佇まい。大都市ジュネーブにはない、スイスらしい町並みをみることができます。また、民家やレストラン、小さな商店など、旧市街に市民の生活が根付いているのが印象的でした。
湖から旧市街を通り、北上すると鉄道駅に行きつきます。
ここから列車に乗り、ジュネーブ・コルナバン駅まで列車で15分。
切符は駅にある自動券売機で買うことができました。
英語表記もあり、分かりやすく、クレジットカードも利用できました。
6.まとめ
船と電車に乗って、1日で2つの町を巡ることができる大満足のコース。
ジュネーブ滞在中に、日帰り旅行のコースとしても楽しめますし、田舎でゆっくりしたい方には、イヴォワールに宿泊するのもおすすめです。
中世の村に泊まるなんてわくわくしますし、夕陽に染まるイヴォワールの村や、朝もやに霞むレマン湖の姿を見られるのは、イヴォワールに宿泊する醍醐味でしょう。
イヴォワールの観光局のホームページでホテルのリストを見ることができます。
イヴォワール観光局ホームページ:
http://www.yvoiretourism.com/accueil_en.html
最後までお読み頂き、有難うございました。