黄色いワインをご存知ですか
ワインといえば、赤ワインと白ワイン、そしてピンク色のロゼワインを思い浮かべる人も多いと思います。
私もワインはこの3色、と思っていた。
私が”ヴァン・ジョーヌ”(Vin jaune)=黄色いワインについて聞いたのは、フランスのジュラ地方に留学をしていた時でした。
当時は学生でしたので、実際に”ヴァン・ジョーヌ”=黄色いワインを飲むことはありませんでしたが、その存在がずっと気になっていた。
社会人になってから、ふと”ヴァン・ジョーヌ”=黄色いワインを思い出し、検索してみた。
すると、”ヴァン・ジョーヌ”、は、ジュラ地方の名産であり、特殊なキャラクターを持つ珍しいワインであることが分かりました。
日本で”ヴァン・ジョーヌ”を飲めるところはまだまだ少なく、飲めたとしてもとても高額。
現地に行ってヴァン・ジョーヌを飲んでみたい・・・。
ということで、黄色いワインを求めて、フランス、ジュラ地方のアルボワへ行ってきました!
この記事【黄色いワインを飲みに美食の郷アルボワへ一人旅】では、アルボワへのアクセス、アルボワの村の様子、おすすめのホテルとレストラン、そして黄色いワインと盛りたくさんの内容をご紹介させて頂きます。
1.美食の郷、アルボワ
ジュラ地方でヴァン・ジョーヌを飲めるところを探してみると、ヴァン・ジョーヌを作っている酒蔵が多数ある。
さらに美食の郷として知られるアルボワという町に辿り着く。
アルボワは田舎の小さな村であるにもかかわらず、ミシュランで2つ星を獲得したレストランがある。
さらに、銀座に出店して話題となったショコラティエ、118年の歴史が続くイルサンジェーの本店もアルボワにあることが分かったのです。
こんな田舎の村に世界レベルの美食が集中しているなんて・・・一体どんなところだろうか。
2.アルボワへのアクセス
アルボワの村は、フランス東部、スイスと国境を接するフランシュ・コンテ地方のジュラ県北部に位置しています。
アルボワには鉄道駅があり、フランシュ・コンテ地方の中心都市であるブザンソンとフランス第二の都市リヨンを結ぶ鉄道路線がアルボワの駅を通っています。
アルボワに行くためには、パリからフランス新幹線TGV(トラン・ア・グランド・ヴィッテス/Trai à grande vitesse =超高速鉄道)に乗り、ブザンソンかリヨンへ行き、そこからアルボワへ行く在来線に乗り換えます。
TGVの切符は、日本からフランス国鉄SNCFのホームページを通して予約をすることができます。
アルボワへ行く在来線の切符は、残念ながら日本からは予約のできない路線なので、フランスに到着してからの購入になります。
パリのリヨン駅の自動券売機で、あらかじめ調べておいた接続便の切符を往復で購入。
行き、帰り往復の切符を購入しておくことをおすすめします。
後々ものすごく役に立ちました。
というのも、降り立ったアルボワの駅はなんと無人駅!
駅舎はもぬけの殻の廃墟で、駅員さんの一人もいません。
ホームに自動券売機が置いてありましたが、なんと壊れていて切符が買えない状態!
パリで切符を購入していなければ、帰りの電車の切符が買えず、無賃乗車として罰金を取られるところでした。
到着した駅が廃墟だったことに衝撃を受けつつ、降車した数人の乗客に続いて駅のホームを後にします。
駅舎にはペンキで落書きがされ、駅前には民家が数件と駐車スペースになっている空き地があるだけでなにもありません。
本当にこんなところに、アルボワの村があるのか??
駅前のバス停と思われる場所に村の地図があった。
その村の地図を頼りに、村があると思われる方向へ、不安な気持ちのまま歩き出しました。
駅舎を背にまっすぐ歩くと、車がビュンビュン走る道に突き当たる。
その突き当たりを左に曲がります。
この道をまっすぐ行けば村に着くはず…
が…10分歩いても村は見えてきません。
不安と共に、更に歩き続けた。
小川が流れ、少しずつ景色が私がイメージするアルボワらしくなってきました。
すると、右手にルイ・パスツールの家が!
アルボワにルイ・パスツールの家があることは、予習済みでした。
やった!ついに村に着いた!と安堵した。
ちなみに、ルイ・パスツールは、フランスの生化学者、細菌学者で、狂犬病のワクチンを発見した近代細菌学の祖と呼ばれる人物です。
アルボワでは、幼年期を過ごした家を見学することができます。
3.アルボワでおすすめのホテル
ルイ・パスツールの家からまっすぐ、だらだら坂を登り続けます。
左右に商店や小さなワインの店、レストランなどが並び、村の中心部に近づいている安堵、そして嬉しさが込み上げてきた。
坂を登りきると小さな広場に出ました。
ここが村の中心の” Place de la Liberte ” プラス・ドゥ・ラ・リベルテです。
広場には、ガラス張りの立派なワイナリーが2軒と、レストランや、イルサンジェーのチョコレート屋さんがある。
やっとアルボワに着いた!
はやる気持ちをおさえ、宿泊予定のホテル探し。
今回、泊まるのはミシュラン2星レストランを併設するオーベルジュ、” Maison Jeunet ” メゾン・ジュネです。
ホテルのインターネットサイトより予約。
ホテルは、広場から少し入ったところにあり、中に入るとシックな内装の小さなロビーが、更に奥にはレストランが見えています。
部屋はこじんまりとしていましたが、清潔で、バスルームも新しく、美味しいマカロンと生花のおもてなしに感激しました。
せっかくアルボワまで来たので、ゆっくりと目的を果たすため、こちらの宿に2泊しました。
名称: Maison Jeunet メゾン・ジュネ
住所: 9 rue de l’hotel de ville 39600 Arbois
電話番号: +33 (0) 384 660 567
公式サイト: http://www.maison-jeunet.com/fr/
レストラン定休日: 火曜日、水曜日(7、8月は火曜日と水曜日のランチ)
4.アルボワの村を散策
ホテルに荷物を置いて村の散策に出かけます。
村はとても小さいので迷うことはありませんが、念のため、” Office de Tourisme ”オフィス・ドゥ・トゥーリズム=観光局で地図を貰います。
観光局はホテルがあるのと同じ、” Rue de L’Hotel de ville ”リュー・ドゥ・ロテル・ドゥヴィル=市庁舎通りの17番地にあります。
地図の他にもジュラワインのパンフレットなども貰うことができました。
アルボワの村には、キュイザンス川という小さな川が流れています。
川沿いには石造りのかわいらしい家が立ち並び、その壁にはツタがはい、窓辺には花々が飾られ、どこを歩いても絵になる景色。
派手さや華美さはないものの、どこかほっとする懐かしい村。
村には12世紀に建てられた” Eglise Saint-Just ”エグリーズ・サンジュスト=サン・ジュスト教会があります。
どことなく黄色がかった石で造られており、ヴァン・ジョーヌ=黄色いワインの村だから?なんて思ってしまいました。
そして、村のはずれには、ブドウ畑の斜面が見えています。
あそこでアルボワワインが獲れるのだなぁと思いました。
5.ワインの試飲天国
アルボワの村には、ワイナリーが数多くあります。
ワイナリーでは、ワインを試飲して購入することができる。
ワインに詳しくない人でも、試飲ができるので安心して購入できます。
アルボワに来た目的である黄色いワイン、ヴァン・ジョーヌに、やっと出会えました。
ヴァン・ジョーヌは、一般的なワインとは違う、620ml入りのクラブランと呼ばれるボトルに入っています。
これは、通常の白ワインを作るときには、樽でワインを熟成させ、蒸発した分の水分を補充します。
が、ヴァン・ジョーヌはこの補充を行わずに、最低でも6年樽で寝かせます。
この長い熟成期間のため、独特な黄色い色とナッツのような香りを持つ独特のワインになると言われています。
実際に試飲したヴァン・ジョーヌは、ものによって様々な味がありました。
私が気に入ったヴァン・ジョーヌは、紹興酒やシェリー酒のような深みのある風味があるものでした。
若いヴァン・ジョーヌは少し酸味が感じられ、好みではなかったので、1998年と2001年のものを2本購入しました。
そして、試飲をしていると、新たなワインに出会ってしまいました!!
勧められたのが、” Vin de Paille ” ヴァン・ド・パイユ=藁ワイン。
ヴァン・ド・パイユは、収穫したぶどうを藁の上に最低でも6週間放置して、乾燥させてからワインにするため、濃度が高まり、まるでラムレーズンのような甘みと芳香があります。
10kgの干しぶどうからわずか20リットルしか作ることができない高級品。
手間がかかるため、生産量が少なく、日本にはほとんど輸入されていないらしい。
迷った!高い!
でも、日本では飲めないかも・・・。
購入してしまいました。
そしてさらに、” Macvin du Jura ” マックヴァン・ドュ・ジュラと呼ばれる甘口の激ウマワインにも出会ってしまいました。
マックヴァンとは、ぶどうの搾りカスを原料とするブランデー、マールと発酵前のぶどう果汁をブレンドして作られたもので、ぶどう本来の甘みを感じられる食後酒です。
こちらもかなりレアなお酒と聞いて購入してしまいました。
このように日本ではなかなかお目にかかれないレアなワインを試飲して買うことができるのがアルボワの一番の魅力です。
ワイナリーの方はみなさんとても親切で、自分たちのドメーヌで造られたワインに誇りを持っています。
ジュラのワインに知識がなかった私にも丁寧にそれぞれのワインの特徴を説明してくれました。
これだけの個性のあるワインが揃うのは、ここ、ジュラ地方だけでは?と思うほど、これまでに飲んだことのないワインとの出会いがありました。
6.ミシュラン2つ星メゾン・ジュネ
アルボワに来たもうひとつの目的、ミシュラン2つ星を獲得した” Maison Jeunet " メゾン・ジュネのレストランでのランチ。
ディナーは122ユーロからと敷居が高かったので、62ユーロのランチを予約。
おすすめはこの平日のみのランチ。
この値段のランチは、日曜日と祝日は残念ながら食べられません。。
プラス30ユーロで、料理に合わせたグラスワイン2杯と、ハーフボトルのお水、食後のコーヒーを付けることができます。
ボトルでワインを注文しても飲みきれないし…と思い、こちらのセットを注文しました。
ランチコースは、アミューズ・ブーシュ、前菜、メイン、デザートの構成です。
盛り付けがとても美しく、料理がサーブされるたびに歓声をあげてしまいました。
シェフの” Steven Naessens ” スティーブン・ネッサンは、” Jean Paul Jeunet ” ジャン・ポール・ジュネ氏の引退後、レストランを引き継いだ36歳の若きシェフ。
ベルギーの出身で、メゾン・ジュネで8年間、ジャン・ポール・ジュネ氏の右腕としてセカンドシェフを務めた後、オーナーシェフとなりました。
スパイスやハーブを使用した料理が得意なようで、頂いたお料理にもハーブのアクセントや爽やかさを随所に感じました。
スティーブン氏は、2018年もミシュランンの2つ星を維持しています。
ミシュラン2つ星レストランでこの値段でお食事をできるのは、なかなかないチャンス。
和食を思わせるようなエビの出汁を感じさせる前菜のスープ。
メインの魚料理、メインの牛のロースト。
黒い焼き物のお皿を使用しており、黒地の皿が鮮やかな料理を引き立てていました。
デザートの生姜のソルベ、そしてプチフール。
すべてが美味しく、斬新な味でした。
どこかで食べたことのあるフレンチではなく、新しい味との出会いがそこにありました。
また、ホテルの朝食は、レストランでの食事と比べると素朴な印象でしたが、ジュラ地方の厳選された食材を利用したビュッフェを頂くことができます。
ジュラ地方の特産であるコンテチーズや、地元で作られたビオのヨーグルト、フルーツ、焼き立てのオムレツなどシンプルだからこそ素材の味の引き立つメニューが並んでいました。
7.イルサンジェーのチョコレート
もうひとつのアルボワグルメは、MOF=” Meilleur Ouvrier de France ” メイユール・ウブリエー・ドゥ・フランス フランス国家最優秀職人の称号を持つ、エドワール・イルサンジェー氏の作る、宝石のようなチョコレート。
この称号は日本でいうならば人間国宝のようなもの。
人間国宝の作るチョコレートなんてなかなか頂けませんよね!
エドワール氏が天然の素材だけで作る手作りのチョコレートは、「生きたショコラ」と呼ばています。
イルサンジェー家は創業1900年。
100年以上、一族によって守られてきた伝統のあるショコラティエです。
フランスでは歴代首相にも愛される味です。
イルサンジェーのチョコレートを買えるのはなんと世界でもここアルボワと日本の銀座店、通販サイトのみ。
手作りのチョコレートを輸送するため、日本では当然価格が高騰します。
アルボワでは、作り立てのショコラを適正価格で好きなだけ購入できるのです。
さらに、サロン・ド・テーが併設されているので、チョコレートの他にも、ケーキやアイスクリームなどを食べることができます。
お土産にチョコレートを購入し、サロン・ド・テーでチョコレートアイスを食べました。
アイスは日本では食べられないかも…と思い注文しました。
濃厚なチョコの味は、子供のおやつではなく、大人の愉しみ。
濃いエスプレッソに合う、最高のアイスクリームでした。
お土産に買ったチョコレートは、生姜を使ったものや、抹茶やゴマなどの日本の食材を使ったものなど、独創的なチョコレートが多く、これまた新しい味との出会いがありました。
訪れたときは暑かったので、帰路、運搬中に溶けてしまい少し残念でしたが、これも手作りの繊細さ…と納得しました。
8.アルボワのおすすめレストラン
アルボワ滞在中、ずっとMaison Jeunetで食事わするのも悪くはない。
ですが、新しい発見もあることを期待して、他のレストランにも食事に行きました。
レストランは、リベルテ広場とそこから駅に向かってのびる” Grande Rue ” グランド・リューに集中しています。
レストランはすぐに見つかりました。
おすすめは、リベルテ広場にあるブラッスリー” Aux Docks ” オ・ドック。
カジュアルなブラッスリーで店の内装も赤と黒を基調とした近代的なインテリアです。
広場に面したテラス席で頂きました。
コースメニューもありましたが、連日食べ過ぎていたが、贅沢にメインの魚料理と肉料理を注文。
魚料理はスズキのグリル。
皮がパリッと焼けていて美味しかった。
肉料理はブレス鶏のモリーユ茸ソースがけ。
これまで食べた鶏肉の中で一番美味しいと言っても過言ではない美味しさでした。
ブレス鶏とは、この近くの町ブール・ガンブレスで飼育されるブランド鶏ですが、まさかこんなに美味しい鶏肉がこの世にあるとは驚きです。
鶏肉は熱を通すと少しパサつきが出てしまうものですが、こちらで頂いた鶏はしっとりとして柔らかく、ふわふわの舌触りでした。
この調理法をぜひ教えてもらいたい…と思いましたね。
名称: Aux Docks オ・ドック
住所: 27 Place de la Liberte 39600 Arbois
電話番号: +33 (0) 384 665 770
公式サイト: http://www.aux-docks.com
9.まとめ
ジュラの田舎町アルボワ。
パリからずっと離れたこんな田舎に洗練されたレストランと珍しいワインの数々。
そして人間国宝級の職人の作る美しいチョコレート。
フランスの食の魅力が凝縮されていました。
電車の本数が少なく、行くのが大変なので、2泊、3泊してグルメを満喫することをおすすめします。
最後までお読み頂き、有難うございました。
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